家族が亡くなったときに受け取れる公的なお金4つと手続きの進め方

結論から言うと、家族を亡くしたときに受け取れる公的なお金は、主に「遺族年金」「葬祭費」「死亡一時金」「高額療養費」の4つです。いずれも自動では振り込まれず、遺族が申請して初めて受け取れるお金です。

ただ、すべてを今日中に片づける必要はありません。申請の期限は2年から5年に設定されているものが多く、気持ちが少し落ち着いてから動き出しても間に合うものがほとんどです。この記事は、執筆時点で一般的とされる流れを整理したものです。制度の内容や支給額は改定されることがあるため、実際に申請するときは市区町村・年金事務所・健康保険組合・国税庁などの公式の窓口で最新の内容をご確認ください。

目次

受け取れる公的なお金の全体像

手続きに入る前に、どの制度がどの窓口につながっているのかを見ておくと、後の作業が整理しやすくなります。

4つの公的なお金と主な申請先の関係図家族が亡くなる遺族年金続けて受け取る葬祭費葬儀費用を補助死亡一時金一括で受け取る高額療養費医療費を戻す年金事務所市役所など市役所など健康保険組合どれも申請しないと受け取れません

4つの制度は、性格が二つに分かれます。遺族年金は、その後の暮らしを継続的に支えるためのお金です。残りの3つは、葬儀や医療費といった、すでに出ていった支出をあとから補うためのお金にあたります。

先に窓口を分けて考えると、動きやすくなります。遺族年金は年金事務所、葬祭費と死亡一時金は市役所などの自治体窓口、高額療養費は加入していた健康保険組合が主な相談先です。死亡一時金は年金事務所でも受け付けています。どの窓口に行けばよいか判断がつかないときは、まず市区町村の窓口で事情を伝えれば、必要な相談先を案内してもらえます。

それぞれの申請先と期限を一覧にまとめました。まずはご自身の家族に当てはまりそうなものに目星をつけるところから始めてください。すべてに該当するとは限りませんし、該当しないものがあっても差し支えありません。

制度 どんなお金か 主な申請先 申請期限
遺族年金 年金加入者だった家族の遺族に支給される年金 年金事務所 亡くなった日から5年以内
葬祭費 葬儀にかかる費用を補助するお金 市役所・健康保険組合 葬儀を行った日から2年以内
死亡一時金 国民年金の加入者に対し一括で支給されるお金 市役所・年金事務所 亡くなった日から2年以内
高額療養費 高額になった医療費のうち一定額を超えた分 健康保険組合・市役所 医療費を支払った日から2年以内

期限に幅があるのは、制度ごとに趣旨が違うためです。日付の起点も「亡くなった日」「葬儀を行った日」「医療費を支払った日」とそろっていない点に注意してください。表の内容は執筆時点で一般的とされるものですので、ご自身のケースに当てはめる際は、必ず該当する窓口で確認してください。

遺族年金 — 暮らしを継続的に支えるお金

遺族年金は、亡くなった家族が年金の加入者だった場合に、遺族へ支給される年金です。一度きりではなく継続して受け取れるため、その後の生活を支える収入源になります。

遺族年金には国民年金によるものと厚生年金によるものの2種類があり、受給の条件も金額も異なります。国民年金の場合は、夫が亡くなったときに妻へ支給される例が多く、子どもに支給されることもあります。厚生年金の場合は、妻や子どもに加えて、一定の条件を満たせば夫が受け取れることもあります。

遺族年金は、申請しなければ受け取ることができません。金額は亡くなった方の年金の加入期間や加入状況によって変わるため、いくら受け取れるのかは年金事務所で確認するのが確実です。

申請には、遺族年金の申請書、死亡診断書、戸籍謄本、受取人の身分証明書、受取人の銀行口座情報などが必要です。申請書は年金事務所で配布されています。書類がそろったら、年金事務所へ直接持参するか、郵送で提出します。受取人の情報と口座情報は、記入の誤りが受け取りの遅れに直結するため、落ち着いて確認しながら書き入れてください。

葬祭費 — 葬儀の費用を補助するお金

葬祭費は、葬儀にかかった費用を補助するために支給されるお金です。健康保険または国民健康保険に加入していた場合に申請できます。

支給額は保険の種類や地域によって異なりますが、おおむね5万円から10万円程度です。葬儀を終えたあとに申請するのが一般的で、葬儀の領収書や死亡診断書が必要になります。

そのほか、葬祭費の申請書、戸籍謄本、受取人の身分証明書などもあわせて求められます。申請書は市役所や健康保険組合で配布されています。書類を整えたら、市役所または健康保険組合へ持参するか、郵送で提出します。

ポイント

葬儀社から受け取った領収書は、金額の内訳がわかる形で保管しておいてください。慌ただしい時期にまぎれて紛失すると、申請の際に困ることがあります。

死亡一時金 — まとまった額を一度に受け取る制度

死亡一時金は、亡くなった家族が一定期間以上、国民年金に加入していた場合に支給されるお金です。遺族年金と違い、一括で支給される点が特徴です。

受け取るには条件があり、亡くなった方が国民年金に36ヶ月以上加入していることなどが求められます。申請には死亡診断書、戸籍謄本、受取人の身分証明書などが必要です。

申請書は市役所や年金事務所で配布されており、受取人の銀行口座情報もあわせて記入します。書類がそろったら、市役所か年金事務所へ持参するか、郵送で提出してください。

まとまった金額を一度に受け取れるため、当面の支出に備える助けになります。自分の家族が条件に当てはまるかどうか判断がつかないときは、市役所や年金事務所の窓口で加入記録を確認してもらうとよいでしょう。加入期間は本人の記憶よりも記録で確かめたほうが確実です。

高額療養費 — 医療費の負担を戻してもらう制度

高額療養費は、亡くなった家族の医療費が高額になった場合に支給されるお金です。医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を健康保険が補助してくれる仕組みで、遺族の医療費負担が軽くなります。

申請には医療費の領収書と申請書が必要です。あわせて受取人の身分証明書と銀行口座情報も求められます。申請書は健康保険組合や市役所で配布されています。支給額は医療費の総額や加入していた健康保険の種類によって変わるため、具体的な金額は健康保険組合や市役所で確認してください。

領収書を処分してしまうと、申請が難しくなることがあります。入院や通院が長引いた場合は特に、書類がひとまとめになっているか確かめておくと安心です。

申請手続きの進め方と窓口ごとの流れ

実際の手続きは、窓口ごとに「書類を集める」「申請書を書く」「提出する」という同じ流れをたどります。全体像は次のとおりです。

公的なお金を受け取るまでの手続きの流れ1書類を集める2申請書を書く3窓口へ提出審査支給の決定と振り込み(数週間から数ヶ月かかることがあります)窓口が違っても流れは同じです

年金事務所での手続き

遺族年金は年金事務所で申請します。申請書類、死亡診断書、戸籍謄本などが必要です。手続きが複雑になりやすいので、先に必要書類を電話などで確認してから出向くと、二度手間を避けられます。窓口では担当者が手順を案内してくれますので、わからない点は遠慮なく尋ねてください。

市役所での手続き

葬祭費と死亡一時金は、市役所の窓口で申請するのが一般的です。書類は直接持参する方法と郵送する方法がありますが、記入漏れをその場で確認してもらえるぶん、持参のほうが確実です。

健康保険組合での手続き

高額療養費は、加入していた健康保険組合で申請します。窓口への提出でも郵送でも受け付けてもらえます。申請書の書き方に迷ったら、提出前に担当者へ確認しておくと安心です。加入先が国民健康保険だった場合は、市役所が窓口になります。

ポイント

窓口へ出向く前に、電話で必要書類を確認しておくことをおすすめします。ご家族の状況によって求められる書類は変わります。一度で終えられれば、それだけ負担が軽くなります。

申請に必要な書類と、まとめて準備するコツ

4つの制度は申請先こそ違いますが、求められる書類は重なっています。最初にまとめて集めておくと、窓口を回る回数を減らせます。

書類 取得できる場所 主に使う制度
死亡診断書 病院・クリニック ほぼすべての申請
戸籍謄本 市役所・区役所 遺族年金・葬祭費・死亡一時金
受取人の身分証明書 手元のもの(運転免許証など) ほぼすべての申請
受取人の銀行口座情報 通帳・キャッシュカード 振り込みを受ける申請
葬儀の領収書 葬儀社 葬祭費
医療費の領収書 病院・薬局 高額療養費

死亡診断書

死亡診断書は、亡くなった事実を公式に証明する書類で、医師によって作成されます。多くの申請で提出を求められる、いわば土台となる書類です。病院やクリニックで作成してもらうのが一般的で、遺族が受け取る際に複数部を用意しておくと、あとから取り直す手間が省けます。

戸籍謄本

戸籍謄本は、亡くなった家族との身分関係を証明する書類です。死亡日や続柄が記載されており、こちらも多くの申請で必要になります。市役所や区役所で取得でき、本人確認書類と手数料が必要です。何枚必要になるかを窓口で確認してから、まとめて取得すると効率的です。

受取人の身分証明書

受取人の身分証明書は、お金を受け取る遺族が本人であることを示すための書類です。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどが使えます。提出はコピーで足りることが多いですが、有効期限が切れていないかは事前に確かめておいてください。

受取人の銀行口座情報

受け取ったお金の振込先として、銀行名、支店名、口座番号、口座名義を申請書に記入します。ここが誤っていると振り込みができず、手続きが振り出しに戻ってしまいます。通帳やキャッシュカードの表記をそのまま書き写すのが確実です。

  • ✅ 死亡診断書は複数の申請で使うため、あらかじめ複数部を用意しておくと動きやすくなります
  • ✅ 戸籍謄本も同様に、必要な枚数を窓口で確認してからまとめて取得します
  • ✅ 身分証明書は有効期限が切れていないか確かめておきます
  • ✅ 銀行口座情報は、銀行名・支店名・口座番号・口座名義を正確に書き写します

口座情報に誤りがあると、決定していても振り込まれません。提出前に通帳の表記とひと文字ずつ照らし合わせてください。

申請期限と、無理なく間に合わせる考え方

期限を過ぎると、本来受け取れたはずのお金が受け取れなくなります。ただし、いずれも当日や翌週に迫るものではありません。落ち着いて順番に進めれば十分に間に合います。

制度ごとの申請期限の目安起点の日5年後葬祭費 2年死亡一時金 2年高額療養費 2年遺族年金 5年2年の区切り

起点の日が制度ごとに違う点だけ、気に留めておいてください。葬祭費は葬儀を行った日から、死亡一時金と遺族年金は亡くなった日から、高額療養費は医療費を支払った日から数えます。

また、申請してから支給されるまでにも時間がかかります。書類の確認や審査があるため、一般的には数週間から数ヶ月ほどみておくとよいでしょう。急いで申請したからといってすぐに振り込まれるわけではありませんが、早めに出すぶん、受け取りも早まります。

優先順位に迷うようであれば、期限が2年と短い葬祭費・死亡一時金・高額療養費から手をつけ、期限に余裕のある遺族年金を後に回すという考え方があります。ただし遺族年金は受け取れる期間が長く、生活への影響も大きいため、後回しにしたまま忘れてしまわないよう、いつ相談に行くかだけでも決めておくと安心です。

よくある質問

受け取れる金額はどれくらいですか

制度の種類と条件によって変わります。遺族年金は亡くなった方の加入期間や加入状況によって金額が異なりますし、葬祭費や死亡一時金も保険の種類や地域によって差があります。金額の目安を知りたい場合は、年金事務所・健康保険組合・市役所など、該当する窓口で確認するのが確実です。

申請にはどのくらい時間がかかりますか

申請してから支給までは、数週間から数ヶ月かかることがあります。書類の準備、内容の確認、審査という段階があるためです。特に遺族年金と高額療養費は時間がかかりやすい傾向があります。進み具合が気になるときは、申請先の窓口で状況を確認できます。

手続きは誰が行うのですか

基本的には遺族が行います。遺族の代表者や、実際にお金を受け取る方が担当するのが一般的です。家族のあいだで誰が担当するかを決めておくと、書類の管理がしやすくなります。ひとりで抱え込まず、分担しても構いません。

複数の制度をまとめて申請できますか

できます。ただし制度ごとに必要な書類と提出先が異なるため、それぞれ準備が必要です。遺族年金と葬祭費と死亡一時金を並行して進める場合は、共通して使う死亡診断書や戸籍謄本を多めに用意しておくと、行き来が減ります。

手続きが期限に間に合いそうにないときはどうすればよいですか

まずは該当する窓口へ、期限が近いことを伝えて相談してください。書類がそろっていない事情や、手続きを進められなかった事情を伝えることで、案内を受けられる場合があります。自己判断であきらめてしまう前に、一度問い合わせてみることをおすすめします。

まとめ

大切な家族を失った直後に、これだけの手続きを求められるのは、決して軽い負担ではありません。最後に、押さえておきたい点を3つに絞ります。

  • 受け取れる公的なお金は主に遺族年金・葬祭費・死亡一時金・高額療養費の4つで、いずれも申請しなければ受け取れません
  • 申請先は年金事務所・市役所・健康保険組合に分かれますが、書類を集めて申請書を出すという流れは共通です
  • 期限は2年から5年で、起点となる日が制度ごとに異なります

最初の一歩としておすすめしたいのは、死亡診断書と戸籍謄本を複数部そろえておくことです。ほとんどの申請で使うため、これがあるだけで後の窓口対応がずいぶん楽になります。逆にいえば、この2つさえ手元にあれば、あとは窓口の案内に沿って進められる場面が多くなります。

そのうえで、ご自身の家族がどの制度に当てはまるのかを、市区町村の窓口か年金事務所に一度相談してみてください。制度の内容や支給額は改定されることがあり、この記事の内容も執筆時点のものです。最終的な判断は、必ず市区町村・年金事務所・健康保険組合・国税庁などの公式の窓口でご確認ください。焦らず、できるところから進めていただければ十分です。

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