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歯のホワイトニングは、歯の色調を明るくするための審美的な処置です。適切に行えば歯を削らずに色を明るくできますが、虫歯・歯周病・口臭を治す処置ではありません。
また、「ホワイトニング」と呼ばれるサービスには、歯科医院で過酸化物を使って歯そのものを漂白する方法と、表面の着色汚れを落とすクリーニングに近い方法が混在しています。何を白くしたいのかによって選ぶ方法が変わります。
先に結論:歯そのものの色を明るくしたいなら、まず歯科医院で変色の原因、虫歯・歯周病、知覚過敏、詰め物・被せ物の有無を確認するのが安全です。ホワイトニングで白くならない材料や変色もあります。
歯のホワイトニングとは?クリーニングとの違い
狭い意味での歯のホワイトニング(漂白・ブリーチ)は、過酸化水素や過酸化尿素などを用いて、歯の内部の着色物質を分解し、歯の色調を明るくする方法です。日本歯科医師会も、歯の表面を削るのではなく、ホワイトニング材によって歯内部の着色物質を分解する処置と説明しています。
一方、歯石・プラーク・コーヒーやたばこなどによる表面のステインを除去するのは主にクリーニングです。クリーニングで本来の色に近づくことはありますが、歯そのものを漂白する処置とは目的が違います。
| 方法 | 主な目的 |
|---|---|
| クリーニング | 歯石・プラーク・表面の着色汚れなどを除去する |
| 歯科ホワイトニング | 過酸化物などを用いて歯そのものの色調を明るくする |
歯科医院のホワイトニングは主にオフィスとホーム
オフィスホワイトニング
歯科医院で歯科医師・歯科衛生士の管理下で行う方法です。比較的高濃度の薬剤を用いるため、短期間で色調の変化を得やすい一方、知覚過敏などが出ることがあります。
ホームホワイトニング
歯科医院で診察を受け、専用のトレーと薬剤を用いて自宅で行う方法です。使用時間や期間は製品・薬剤によって異なるため、歯科医師の指示に従います。
「オフィスは必ず1回60〜90分」「ホームは必ず2週間」と固定できるものではありません。使用する製品や希望する色、歯の状態で計画は変わります。
セルフホワイトニングは歯科の漂白と同じではない
サロンなどで行われるセルフホワイトニングでは、歯科医療で用いられる漂白剤とは異なる製品が使われることがあります。日本歯科審美学会は、学術的に歯の漂白効果が認められている過酸化物を用いた方法は歯科医療として扱われ、資格を持たない者がそれらを用いて施術することはできないと説明しています。
そのため、「セルフホワイトニング=歯科ホワイトニングの安い版」と単純に比較するのは適切ではありません。歯そのものを明るくしたいのか、表面の着色を落としたいのかを分けて考えます。
同学会は、美容室やエステに類似した店舗で「歯のホワイトニング」が行われているという報告について、使われている製品や方法の詳細が不明であり、学会として推奨していないとしています。施術を受ける前に、施術内容・費用・施術者の資格の有無について十分な説明を受け、納得してから決めるよう勧めています。
ホワイトニングで期待できる効果
主な目的は天然歯の色調を明るくすることです。加齢や飲食物などによる変色の一部は改善が期待できますが、どの程度白くなるかには個人差があります。
ホワイトニングによって見た目への満足感が高まる人はいますが、「第一印象が良くなって就職や婚活に有利になる」「自己肯定感が上がる」「積極的な性格になる」といった効果を医学的な効能として保証することはできません。
ホワイトニングでできないこと|虫歯・歯周病・口臭予防ではない
ホワイトニングは審美処置であり、次のような治療・予防を目的とするものではありません。
- 虫歯を治療・予防する
- 歯周病を治療・予防する
- 歯石を除去する
- 口臭の原因を治療する
- 歯並びを整える
- 全身疾患のリスクを下げる
ホワイトニングをきっかけに歯科受診やセルフケアへの意識が高まることはありますが、ホワイトニング剤そのものが歯垢を付きにくくしたり、歯周病・口臭・全身疾患を予防したりする、と考えないことが大切です。
歯周病と全身疾患の関連は「歯周病と全身疾患の関係」で整理しています。
詰め物・被せ物・インプラントは基本的に白くならない
ホワイトニング剤で色が変わるのは主に天然歯です。レジンの詰め物、セラミック・金属などの被せ物、インプラントの人工歯などは、ホワイトニングによって同じように明るくなるわけではありません。
そのため、前歯に詰め物・被せ物がある場合、天然歯だけが明るくなり色差が目立つことがあります。必要に応じてホワイトニング後の色に合わせて補綴物の作り替えを検討することがあります。
変色の原因によってはホワイトニングが効きにくい
歯の色が気になる原因には、表面のステイン、加齢、失活歯、薬剤による変色、虫歯、詰め物・被せ物などさまざまなものがあります。
ホワイトニングで対応できるかは原因によって異なるため、まず変色の原因を診断してもらうことが重要です。虫歯や歯の神経の問題で色が変わっている場合は、審美処置より治療が先になります。
変色の原因によってホワイトニングの効果は異なり、テトラサイクリン系など特定の薬剤による変色のように改善しにくいものもあります。また、白くした後も飲食や加齢などで色は徐々に変化します。
主な副作用は知覚過敏と歯肉の刺激
ホワイトニングで比較的よくみられるのが、一時的に歯がしみる知覚過敏です。厚生労働省の口腔健康情報でも、ホワイトニング中に知覚過敏症状が起こることがあると案内されています。
薬剤が歯肉へ触れることで、一時的に白くなったり刺激感が出たりする場合もあります。症状が強い場合は我慢して継続せず、使用を中断するか歯科医師へ相談してください。
知覚過敏に似た痛みでも、虫歯や歯の亀裂など別の原因が隠れていることがあります。施術前の診察が重要です。
虫歯・歯周病がある場合は治療を先に検討する
日本歯科医師会は、適切なホワイトニングのために、知覚過敏・虫歯・歯周病などの有無を歯科医院で確認することが大切としています。
虫歯や歯肉の炎症がある状態で薬剤を使用すると、痛み・刺激が強くなる可能性があります。治療の順番は状態によって異なるため、歯科医師と相談してください。
妊娠中・授乳中はどうする?急ぐ必要のない審美処置なら延期も選択肢
妊娠中・授乳中のホワイトニングについては、安全性に関する十分な情報がないため、一般に延期が選択されます。日本歯科医師会の情報でも、胎児・乳児への漂白剤の影響が確認されていないため、その時期を避けることが勧められています。
ホワイトニングは緊急性の高い治療ではないため、妊娠・授乳中は通常の歯科検診や必要な治療を優先し、時期について歯科医師と相談してください。
ホワイトニング後の食事制限はどう考える?
施術後にコーヒー、ワイン、カレーなど色の濃い飲食物を一定時間避けるよう案内されることがありますが、推奨内容は使用薬剤や医院によって異なります。
「全員が24〜48時間、白い食べ物だけにしなければならない」と一律に考える必要はありません。施術を受けた歯科医院の指示を優先してください。
また、着色飲料を飲んだ直後に毎回強く歯を磨くより、まず水で口をゆすぐなど、歯や歯肉へ過度な摩擦を加えないケアが無難です。
歯磨き粉で歯そのものを漂白できる?
日本で一般に販売される歯磨き剤には、表面の着色汚れを落としやすくするものがあります。しかし、歯科で行う過酸化物による漂白と同じ仕組みで歯そのものの色調を変えるものとは限りません。
研磨力の強い製品を過剰に使ったり、強い力で磨いたりすると、歯や歯肉へ負担になることがあります。「白くしたいから強く磨く」は避けてください。
毎日の清掃方法については「電動歯ブラシとは?メリット・デメリット」も参考にしてください。
表面の着色汚れのケアを目的にするなら、Reveオーガニック歯みがき粉
のように研磨剤・発泡剤を使わず、毎日の歯みがきでの着色ケアをうたうジェルタイプの歯みがきを試す方法もあります。公式も継続的な使用を前提としており、すぐに白くなるわけではありません。歯そのものの色調を変える歯科の漂白とは別物として考えてください。
費用は?ホワイトニングは基本的に自由診療
歯を白くすることを目的とした一般的なホワイトニングは、基本的に保険外診療です。料金は方法、使用する薬剤、回数などによって異なります。
契約前には、総額、追加費用、予想される色調変化、必要な回数、知覚過敏が出た場合の対応、キャンセル条件などを確認しましょう。「何段階必ず白くなる」といった保証だけで選ばず、歯の状態を診察したうえで説明してくれる歯科医院を選ぶことが大切です。
回数券やコースなど継続的な契約を結ぶ場合は、特定商取引法も関係します。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、「歯牙を漂白するための医学的処置」を含む美容医療のうち、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約は「特定継続的役務提供」の対象とされています。日本歯科審美学会も、2016年の法改正でホワイトニングが特定継続的役務に含まれ、契約内容によっては同法の適用を受けるようになったと説明しています。
対象となる契約では、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録でクーリング・オフができます。8日を過ぎた後も将来に向かって中途解約ができ、事業者が請求できる額には上限があります(役務の提供開始前は2万円、開始後は提供済みの対価に加え「5万円または契約残額の20%のいずれか低い額」まで)。契約書面で期間と総額を確認しておくと、こうした制度が使えるかどうかを判断しやすくなります。
よくある質問
Q. ホワイトニングで虫歯や歯周病を予防できますか?
A. ホワイトニングは歯を白くする審美処置で、虫歯や歯周病の予防・治療を目的としたものではありません。毎日のプラークコントロールや歯科での必要な治療を別に行います。
Q. セラミックや詰め物も白くなりますか?
A. 一般的なホワイトニングで人工材料の色は変わりません。天然歯との色差が気になる場合は、治療計画を歯科医師と相談します。
Q. ホワイトニングで歯がしみるのは異常ですか?
A. 一時的な知覚過敏は起こり得ます。ただし強い痛みや長引く痛みは虫歯など別の原因も考えられるため、歯科医師へ相談してください。
Q. セルフホワイトニングと歯科医院のホワイトニングは同じですか?
A. 同じとは限りません。歯科医療で用いる漂白剤と、サロンなどで用いる表面清掃目的の製品は制度・作用が異なります。
Q. 妊娠中でもホワイトニングできますか?
A. 安全性に関する十分な情報がないため、急ぐ必要のない審美処置として一般には妊娠・授乳後へ延期し、歯科医師と相談するのが無難です。
Q. ホワイトニング効果は永久に続きますか?
A. 永久ではありません。飲食、喫煙、加齢などで徐々に色調は変化します。必要に応じて歯科医院で再処置・メンテナンスを相談します。
まとめ|ホワイトニングは「歯を白くする処置」であり、治療とは分けて考える
歯のホワイトニングは、主に天然歯の色調を明るくするための審美処置です。虫歯・歯周病・口臭を治したり、全身を健康にしたりする処置ではありません。
①変色原因を歯科で確認する、②虫歯・歯周病・知覚過敏を先に評価する、③詰め物・被せ物は白くならないことを理解する。この3点を確認してから方法を選びましょう。
参考:日本歯科医師会「お口のなんでも相談「ホワイトニング」」 https://www.jda.or.jp/consultation/vol-36.html、日本歯科医師会 テーマパーク8020「ホワイトニング」 https://www.jda.or.jp/park/trouble/white.html、日本歯科審美学会「歯のホワイトニングについて」 https://www.jdshinbi.net/information/whitening.php、厚生労働省 iiha「歯を白くしたい! ホワイトニングにも歯科健診は大切」 https://iiha.mhlw.go.jp/column20241025.html、消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/
