脳ドックとは?目的と検査内容の基本を解説
脳ドックは、脳や脳血管の健康状態を詳しく調べるための専門的な健康診断です。自覚症状がない段階でも、脳卒中や脳腫瘍などの重大疾患のリスクを早期に発見できるのが大きな特徴です。主な検査内容はMRIやMRAといった画像診断が主体で、通常の健康診断では把握しきれない脳の病変や血管異常への気づきに役立ちます。
日本脳ドック学会の一般向け解説では、脳ドックは頭部MRI・MRA、頚部超音波検査などを用いて、脳の病気の有無や将来のリスクを調べる健康診断の一種とされています。治療をする場ではなく、受診した時点の脳の状態を確認するものです。そのため、異常がなかった場合もその安心がずっと続くわけではなく、一定の間隔で検査を受けることが必要とされています。
脳ドックの目的とは
脳ドックの最大の目的は、脳卒中・脳腫瘍・認知症など、命や生活に関わる重い病気を未然に発見することです。早期発見、早期治療がダメージや後遺症を防ぎ、健康寿命の延伸に繋がります。また、ご自身の脳の健康状態を定期的に可視化することで、生活習慣の見直しや予防のきっかけにもなります。
日本脳ドック学会も、病気の早期発見に加えて、見つかった危険因子をもとに生活習慣を見直すきっかけになる点を利点に挙げています。一方で、脳ドックで見つかる異常のうち外科的治療が必要なものは少なく、多くは内服治療か画像による経過観察で対応するとされています。見つかった所見の意味を医師から聞き、その後の生活や通院にどうつなげるかまで含めて考えると、受診の目的がはっきりします。
健康診断との違い
定期健康診断は主に血液・尿・身体測定などによる全身チェックが中心ですが、脳ドックは主に画像診断で脳や血管そのものの異常の有無を調べます。通常の健康診断では見落とされがちな無症状の脳疾患も、脳ドックで見つかることがあります。
日本脳ドック学会は、人間ドックでは脳の検査が網羅されていないため、脳の病気を調べるには別に脳ドックが必要だと説明しています。病院によっては、脳ドックのコースに血液・尿検査、心電図、眼底検査などを組み合わせ、動脈硬化につながる全身の危険因子もあわせて調べています(東京労災病院のスタンダードコースなど)。一方で頭部MRI・MRAに絞った短いコースもあり、何が含まれるかは施設とコースによって異なります。
使われる主な検査機器(MRI・MRAなど)
脳ドックではMRI(磁気共鳴画像)で脳の構造、MRA(磁気共鳴血管画像)で脳血管の状態を調べます。頸動脈エコーや認知機能検査も組み合わせることで、総合的な脳の健康チェックが可能です。MRIや頸動脈エコーは放射線を使わない検査です。
MRI・MRAは強い磁石と電波を使って画像を撮影し、頸動脈エコーは超音波で首の血管を調べます。どちらも体に針を刺す検査ではありません。ただしMRIは磁場を使うため、体内の医療機器や金属、妊娠の有無などによっては受けられない場合や、装置を変えて対応する場合があります。東京労災病院は、通常は人体への影響はないとしたうえで、該当する人に事前の申告を求めています(詳しくは後述の「検査に痛みや危険はある?」を参照)。
脳ドックを受けるべき人とは?対象年齢・リスク要因
脳ドックは主に中高年の方や、脳血管疾患のリスクが高い方に勧められます。また、家族に脳卒中や認知症の既往歴がある場合、生活習慣病(高血圧・糖尿病など)を持つ人も、受診を検討する価値があります。なお、脳卒中の前兆のような症状がすでにある場合は、脳ドックではなく速やかな受診が必要です(後述)。
日本脳ドック学会は、受診を勧める人として次の要因がある人を挙げています。
- 中・高齢者
- 脂質異常症、高血圧、糖尿病のある人
- 肥満気味の人、喫煙者
- 脳卒中や認知症の家族歴がある人
これらは「危険因子」と呼ばれ、すぐに危険な状態という意味ではなく、将来病気になる可能性を高める要因を指します。
推奨される年齢層
日本脳ドック学会の一般向け解説では、受診を勧める対象として「中・高齢者」が挙げられています。年齢とともに脳血管の変化や脳疾患リスクは増加するため、定期的な受診が重要とされています。
学会の解説によると、症状のない小さな脳梗塞(無症候性脳梗塞)は高齢者の10〜20%にみられ、症状がなく強い頸動脈の狭窄も年齢とともに増えるとされています。一方、未破裂脳動脈瘤は30歳以上の成人の約3%にみられるとされ、高齢者だけの問題ではありません。年齢だけで要不要を決めるより、高血圧や喫煙などの危険因子、家族歴とあわせて受診を考えるのが現実的です。
家族歴や生活習慣によるリスク要因
両親や兄弟に脳卒中やくも膜下出血などの脳血管疾患がある場合、家族歴は危険因子の一つとされています。また、肥満や高血圧、糖尿病、喫煙や過度な飲酒といった生活習慣もリスクを高めます。
労働者健康安全機構 中部労災病院の資料は、脳卒中になりやすい人として、血圧が高い人、糖尿病の人、コレステロールが高い人、肥満・太り気味の人、喫煙者(受動喫煙を含む)、多量に飲酒する人、ストレスをためやすい人を挙げています。そのうえで、高血圧・糖尿病・高コレステロールが未治療の人はすぐに受診するよう呼びかけています。脳ドックを待つより、まず治療を始めるべき状態もあるということです。
脳血管疾患の前兆症状を感じた人
急なめまい・手足のしびれ・ろれつが回らない・一時的な視野障害などは、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆かもしれません。こうした症状が現れた際は、脳ドックの予約を待たず、すぐに医療機関を受診してください。顔や手足のまひ、ろれつが回らないといった症状が今まさに出ている場合は、迷わず救急車を呼んでください。
中部労災病院の資料は、一過性脳虚血発作は数分で症状が消えてしまうことがあるものの脳梗塞の前触れであり、症状が消えたからと安心せずすぐに受診するよう呼びかけています。脳卒中が疑われるときのセルフチェックとして「FAST」が紹介されています。
- Face(顔のまひ):片側の顔が下がる、ゆがみがある
- Arm(腕のまひ):片腕に力が入らない
- Speech(言葉の障害):言葉が出てこない、ろれつが回らない
- Time(発症時間):症状が出た時間を確認して、すぐに救急車を呼ぶ
脳ドックは症状のない人が受ける健康診断です。症状がある場合の検査は、医師の判断による通常の診療として行われます。
脳ドックの検査項目一覧とそれぞれの目的
脳ドックでは、MRIやMRAを中心に、頸動脈エコー検査、血液や尿検査、認知機能検査など、多彩な項目が実施されます。それぞれの検査は、脳の状態だけでなく、全身の健康リスクを総合的に評価する目的で行われます。
コースによって含まれる項目は異なります。たとえばJCHO星ヶ丘医療センターでは、脳ドック(約3時間)が脳MRI・脳MRA・頚部MRA・頚部エコー・知的検査・診察に血液・尿検査、心電図、身体計測、血圧測定を加えた内容で、簡易脳ドック(約2時間)は項目を絞った内容です。申し込む前に、受けたい検査がコースに含まれているかを確認しましょう。
MRI検査:脳の構造異常を発見
MRI検査は脳の断層画像を作成し、脳腫瘍や脳梗塞、脳萎縮など構造的な異常を発見します。痛みはなく、非侵襲的手段で精密な情報が得られるのが特徴です。
MRI装置の磁場の強さは「テスラ」で表され、東京労災病院の脳ドックでは3.0テスラの装置で頭部MRI/MRAを撮影しています。刺青がある人や、動脈瘤クリップ・人工関節など体内に金属がある人は1.5テスラの装置で対応するとしています。また、JCHO星ヶ丘医療センターの「もの忘れドック」のように、MRIで記憶に関わる海馬の萎縮の程度を測るコースを設けている施設もあります。
MRA検査:脳血管の異常を確認
脳の血管を可視化するMRA検査では、動脈瘤・血管の狭窄や閉塞の有無を調べられます。クモ膜下出血や脳卒中のリスクを評価する上で重要な検査です。
頭部の血管に加えて、首の血管を撮影する頚部MRAを含むコースもあります(東京労災病院、JCHO星ヶ丘医療センターなど)。日本脳ドック学会によると、症状がなく強い頸動脈の狭窄が見つかる割合は3%以下で、内服治療の進歩により、そこから脳梗塞を起こす年間の割合は1%未満と低いとされています。ただし心筋梗塞などのリスクもあるため内科的な管理が必要で、高度の狭窄では外科的治療が必要になる場合もあります。
頸動脈エコー:動脈硬化の有無をチェック
頸動脈エコーは超音波で頸動脈の血管壁の厚さやプラーク(動脈硬化)の有無を測定します。動脈硬化進行度の確認や、脳梗塞リスクの予測に活用されます。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、評価の中心は血管壁の内膜と中膜を合わせた厚さ(IMT)とプラークです。IMTは加齢で自然に厚くなるため年齢を考慮して評価し、値が高いほど全身の動脈硬化が進んでいる可能性があります。プラークは一般に1.1mm以上の局所的な盛り上がりがある場合に「あり」と判定されます。プラークが大きくなって血管が狭くなると脳の血流が低下することがあり、はがれて血栓になると脳梗塞の原因になることもあります。
血液・尿検査:生活習慣病の兆候を把握
血液検査や尿検査では、コレステロール・血糖・腎機能・炎症反応などを測定します。これにより生活習慣病やそのリスク要因を早期にキャッチできます。
e-ヘルスネットは、動脈硬化は高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などが重なって進み、初期には自覚症状がほとんどないと説明しています。画像で脳や血管の状態を見るだけでなく、血液・尿検査でこうした危険因子を把握しておくと、結果を食事療法や運動療法、必要に応じた薬物療法の相談に結びつけやすくなります。血液検査を含むコースでは食事の制限があることが多いため、後述の準備の項も確認してください。
認知機能検査:認知症予兆の評価
認知機能検査では、記憶や注意力、計算力などをテストし、認知症の早期兆候や認知機能の低下の有無を判定します。高齢者を中心に近年需要が増しています。
日本脳ドック学会は、認知機能の精密検査を含む施設が増えていると説明しています。JCHO星ヶ丘医療センターでは、脳ドックともの忘れドックに知的検査が含まれており、普段眼鏡を使う人は知的検査で必要になるため持参するよう案内しています。認知機能検査の結果だけで認知症と診断されるわけではないため、気になる結果があった場合は、医師の説明を受けて必要な受診につなげます。
実際の検査の流れ|予約から結果説明までのステップ
脳ドックの流れは、予約・受付・問診・検査実施・結果説明という5つのステップで構成されます。初めての方でも安心して受診できるよう、各ステップについて分かりやすくご紹介します。
公的病院の例では、東京労災病院の脳ドックは予約制で、電話での申込みを土日祝日を除く午後2時〜5時に受け付けています。JCHO星ヶ丘医療センターは毎週火曜・金曜に実施し、日程の変更や取消は実施日の1週間前までに連絡するよう求めています。実施日や申込み方法は施設ごとに違うため、早めに確認しておくと希望の日程を取りやすくなります。
予約方法と必要書類
脳ドックは、電話やWebサイトから予約可能です。当日は健康保険証や診察券、問診票などが必要になりますので事前に確認しましょう。
JCHO星ヶ丘医療センターは、病気の治療中の人は担当医の許可を得てから申し込むよう案内しています。また、MRIを受けられるかどうかに関わるため、ペースメーカーなど体内の医療機器、体内の金属、刺青やアートメイク、妊娠の可能性、閉所が苦手であることなどは、予約の段階で伝えておくと当日の検査がスムーズです。持ち物や書類は施設から届く案内に従ってください。
検査当日の受付と問診
医療機関に到着後、受付で身分証などを提示し、簡単な問診票に記入します。持病や服薬状況、過去の病歴を正確に申告することが大切です。
日本脳ドック学会は、ペースメーカーなどの医療機器や体内金属がある人、刺青やアートメイクがある人、閉所恐怖症の人、脳動脈瘤のクリッピング術を受けたことがある人などについて、MRIの前に注意点の確認が必要だとしています。クリッピング術後の人も近年はMRIを受けられることがほとんどとされていますが、手術を受けた病院名や時期がわかれば問診で伝えましょう。
検査実施の順序と所要時間
通常、身体測定や血液検査を済ませた後、MRI・MRAなどの画像検査に移ります。検査の順序や混雑状況によりますが、全体で2~3時間程度が目安です。
JCHO星ヶ丘医療センターによると、MRI検査は約30分かかり、検査中は大きな音がします。所要時間はコースによって大きく変わり、東京労災病院では検査項目の多いスタンダードコースが約3時間、MRI・MRA中心のクイックコースが約2時間です。同院には、頭部MRI/MRAと頸部MRAに絞って受付から検査終了まで約30分という別サービスもあります。
結果の確認方法と説明の受け方
検査後、当日または後日、医師から検査結果の説明があります。わからない用語や指摘事項があれば、その場で質問すると安心して今後の生活に活かせます。
説明の形式は施設とコースで異なります。東京労災病院では、脳神経外科専門医が総合診断と結果説明を行い、説明時間は約20〜30分とされています。一方、結果を郵送で通知する施設もあります。医師から直接説明を聞きたい場合は、説明の有無と時期を予約前に確認しておきましょう。「経過観察」「要精密検査」と書かれた所見は、次に何をすればよいか(いつ再検査するか、どの科を受診するか)まで聞いておくと行動に移しやすくなります。
脳ドックにかかる時間と当日のスケジュール例
脳ドックの所要時間は2~3時間程度のコースが多いですが、実際は検査の混雑や内容によって前後します。実施日や受付時間は施設やコースによって決まっているため、自分の予定に合う日程を選びます。
所要時間を左右するのは、主に検査項目の数と結果説明の有無です。血液検査や心電図、眼底検査などを加えたコースは長くなり、MRI・MRAに絞ったコースは短くなります。当日に結果説明を受けるコースでは、説明までの待ち時間も見込んでおきましょう。
平均的な所要時間
全検査項目を受けた場合でも、2時間から3時間が目安です。MRI検査は約30分かかるとされています(JCHO星ヶ丘医療センター)。
公的病院の例を並べると、JCHO星ヶ丘医療センターは脳ドックが3時間、簡易脳ドックともの忘れドックが2時間、東京労災病院はスタンダードコースが約3時間、クイックコースが約2時間です。東京労災病院では、結果説明は約20〜30分とされています(クイックコースは検査当日、スタンダードコースは後日)。予約時に示される所要時間に、受付や着替えの時間が含まれているかも確認しておくと安心です。
午前利用・午後利用の流れ例
午前に受けるか午後に受けるかは、施設やコースごとに決まっていることが多く、自由に選べるとは限りません。予約の際に受付時刻と終了の目安を確認しましょう。
たとえばJCHO星ヶ丘医療センターでは、脳ドックは午後1時までに健康管理センター受付へ来院する形です。東京労災病院のクイックコースは毎週水曜日の午後に実施され、検査当日に結果説明があります。スタンダードコースは平日に実施し、結果説明は後日(毎週水曜日の午後)です。午後に受ける場合も血液検査があるコースでは食事の指示があるため、来院時刻とあわせて確認しておきましょう。
遅延や所要時間が延びるケースとは
急患対応や機器トラブル、予想外の追加検査が必要になった場合は、予定より大幅に時間がかかることがあります。検査当日はなるべく余裕をもったスケジュール管理が安心です。
東京労災病院は、後日の結果説明について、混雑により遅れることや、医師の都合で日時が変更されることがあると案内しています。当日の直後に仕事や大事な予定を入れず、結果説明の日も時間に余裕を持たせておくと慌てずに済みます。日程を変えたいときは、施設が定める期限(JCHO星ヶ丘医療センターでは1週間前まで)までに連絡します。
費用の目安と保険との関係|自費か保険適用か
脳ドックは健康保険が使えない自費の検査です(自治体や健康保険組合の補助を使える場合があります)。症状があり医師が検査を必要と判断した場合の検査は、脳ドックとは別の保険診療として扱われます。費用や医療費控除の可否も事前に確認しておきましょう。
JCHO星ヶ丘医療センターは、案内の中で「脳ドックに健康保険は適用されません」と明記しています。費用は施設とコースの内容で大きく変わるため、料金表で検査項目と金額を見比べ、オプション検査の有無も確かめておきましょう。
脳ドックの平均費用
費用は施設とコースによって幅があり(下の公的病院の例では約2.5万〜6.1万円)、検査内容が増えると5万円以上になることもあります。多くの施設で料金が明示されています。
公的病院の料金例(税込、2026年10月28日に各病院の案内で確認)は次のとおりです。
- JCHO星ヶ丘医療センター:脳ドック55,000円、簡易脳ドック31,570円、もの忘れドック25,460円
- 東京労災病院:スタンダードコース61,110円、クイックコース42,770円
いずれも健康保険が使えない自費の料金で、東京労災病院とJCHO星ヶ丘医療センターの間でもコース構成が違います。同じ「脳ドック」でも、血液検査や心電図などを含むかどうかで料金に差が出ます。料金は改定されることがあるため、申込み時に最新の金額を確認してください。
保険適用になる場合の条件
症状があり医師の判断で精密検査が必要と認められる場合に限って、健康保険が適用されます。無症状で「予防」の目的だと自費扱いです。
ここでいう保険適用の検査は、脳ドックではなく、症状の原因を調べるための通常の診療です。頭痛やしびれなど気になる症状がある場合は、脳ドックを予約するより先に医療機関を受診し、医師の判断で必要な検査を受けるのが順序です。すでに病気の治療中の人は、脳ドックを受ける前に担当医に相談しましょう。
医療費控除との関係
国税庁によると、人間ドックなどの健康診断の費用は、病気の治療を目的としないため原則として医療費控除の対象になりません。ただし、健診の結果、重大な疾病が見つかり、引き続きその疾病の治療を行った場合は、健診が治療に先立って行われる診察と同様に扱われ、その費用も対象になります。
医療費控除の額は、その年に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を差し引いて計算し、上限は200万円です。脳ドックの費用を含められるか迷う場合は、受診時の領収書と結果、その後の治療の記録を保管したうえで、税務署に確認しましょう。
検査前に準備すべきこと・受診前の注意点
脳ドックを安心・スムーズに受けるためには、事前の準備が大切です。食事・服装・薬の扱いなど、注意すべき点を整理しておきましょう。
注意点は施設によって細かく異なります。予約後に届く案内には、食事を控える時間や持ち物、検査室に持ち込めない物などが書かれているため、受診の数日前に読み直しておくと当日の確認が少なくて済みます。
また、JCHO星ヶ丘医療センターのように、脳ドックでは所定の検査以外は行わないとしている施設もあります。頭痛やめまいなど、検査とは別に相談したい症状がある場合は、脳ドックの当日に頼むのではなく、外来を受診しましょう。
前日までの食事・飲酒に関する注意
検査前日は油っこい食事や大量の飲酒を控えましょう。特に血液検査が含まれる場合、検査当日は朝食を抜くよう指示されることもあります。
具体例として、JCHO星ヶ丘医療センターは、血液検査がある脳ドック・簡易脳ドックでは当日の朝食を軽めにして午前9時以降は絶食し、受診前日は終日、飲酒と喫煙を控えるよう案内しています。食事の指示はコースや施設によって異なるため、受ける施設の案内に従ってください。
当日の服装・持ち物のポイント
金属類を身に付けるとMRI検査に支障をきたします。脱ぎ着しやすい服、アクセサリーや時計、ヘアピンなどは外しておきましょう。保険証や診察券も忘れずに。
JCHO星ヶ丘医療センターは、磁気を帯びたもの(キャッシュカードなど)や金属類(時計、眼鏡、補聴器、カイロなど)は検査室に持ち込めないとしています。入れ歯や、刺青・永久的なアイラインがある場合はMR検査を受けられないことがあるため、事前に伝えます。認知機能検査で眼鏡を使う人は、眼鏡を持参します。
薬の服用についての確認事項
常用薬がある場合は、事前に医師へ相談が必要です。糖尿病治療薬や降圧剤の服用タイミングについて、検査前に必ず指示を受けましょう。
血液検査のために絶食するコースでは、普段どおりに薬を飲んでよいかが問題になります。自己判断で中止したり時間をずらしたりせず、処方している担当医や受診先の施設に確認してください。JCHO星ヶ丘医療センターは、病気の治療中の人は担当医の許可を得てから申し込むよう求めています。問診で正確に伝えられるよう、服用中の薬がわかるもの(お薬手帳など)を持参しましょう。
脳ドックでわかる病気・異常の例と対処法
脳ドックでは、脳梗塞・脳出血・未破裂脳動脈瘤・脳腫瘍など重大な病変の発見につながります。検査で異常が見つかった際は、必要に応じて追加検査や専門医への紹介が行われ、早期に対応することで将来の発症リスクを下げることにつながります。
日本脳ドック学会によると、脳ドックで異常が見つかっても外科的治療が必要なものは少なく、多くは内服治療か画像による経過観察で済むとされています。異常の指摘を受けたときは、すぐに手術が必要なのか、経過を見ればよいのかを医師に確認しましょう。
脳梗塞・脳出血の兆候
MRIやMRAで脳内の梗塞や出血の有無を確認できます。症状のない段階で見つかった所見をもとに、血圧管理などの対策を早めに始められます。
日本脳ドック学会の解説では、画像で脳梗塞の所見があっても症状がないものを無症候性脳梗塞と呼び、多くは小さなラクナ梗塞です。将来の脳卒中や認知症の危険因子とされ、治療が必要と判断された場合には抗血小板薬が使われ、将来の脳梗塞を予防する効果があるとされています(服薬の要否は医師が判断します)。また、症状のない微小な出血(脳微小出血)は加齢や高血圧との関連が知られ、将来の脳出血や脳梗塞、認知機能障害との関連も疑われるため、血圧管理などが重要とされています。
未破裂脳動脈瘤の早期発見
MRAでは、破裂していない小さな脳動脈瘤も発見可能です。見つかった場合は、経過観察や治療の検討、生活習慣の是正につなげます。
日本脳ドック学会によると、未破裂脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になりますが、破裂する割合は高くありません。破裂率は動脈瘤の部位や大きさで変わるため、治療をするかどうか、いつ行うかは医師と相談して決めます。高血圧、喫煙、脳卒中の家族歴がある人は注意が必要とされており、禁煙や血圧管理は見つかった後にも自分で取り組める対策です。
脳腫瘍や奇形の発見とその後の診断
MRI検査によって腫瘍や先天的な脳奇形も確認できます。異常があれば、より詳しい追加検査や専門治療へと進みます。
日本脳ドック学会によると、脳ドックで見つかりやすい脳腫瘍は、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫などの良性のものです。神経膠腫が見つかることもあります。方針には経過観察、手術、放射線治療などがあり、腫瘍の種類や大きさ、症状の有無を踏まえて医師と相談して選びます。
よくある質問(Q&A)|不安・疑問を解消
脳ドックに関するよくある疑問や不安をQ&A形式で解説します。初めての方も安心して受診できるよう、ポイントをまとめました。
以下の回答は、日本脳ドック学会の一般向け解説と公的病院の案内で確認できた範囲の内容です。運用は施設によって異なるため、細かな点は受診先の案内を優先してください。
検査に痛みや危険はある?
MRIやMRA、エコー検査は非侵襲で痛みを伴いません。MRIは強い磁石を使うため、体内に金属や医療機器がある場合は事前に申告しましょう。
日本脳ドック学会と東京労災病院の案内では、次に当てはまる人はMRIを受けられない場合や、事前の確認・別の装置での対応が必要な場合があるとされています。
- 心臓ペースメーカーなど、体内に医療機器を埋め込んでいる人
- 体内に金属がある人(動脈瘤クリップ、人工関節など)
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある人
- 刺青やアートメイクがある人
- 閉所恐怖症の人
また、MRI検査中は大きな音がします(JCHO星ヶ丘医療センター)。
結果はどのくらいで届く?
当日に医師から説明を受けるコースと、後日説明や郵送で結果を受け取るコースがあります。結果の受け取り方は施設ごとに異なります。
たとえば東京労災病院のクイックコースは検査当日に結果説明があり、スタンダードコースは後日の説明です。JCHO星ヶ丘医療センターでは、すべての検査結果がそろってから医師が判定し、判定後、約2週間後に自宅へ郵送されます。受け取りまでの期間は予約時に確認しておくと、結果を待つ間の不安を減らせます。東京労災病院の別サービス(スマート脳ドック)のように、画像を2人の専門医が確認し、結果をウェブのマイページで見る形式もあります。
継続的に受けるべき頻度は?
日本脳ドック学会は、異常がなくても一定の間隔で定期的に検査を受けることが必要だとしています。間隔は一律ではないため、結果や危険因子をもとに医師と相談して決めましょう。
未破裂脳動脈瘤や無症候性脳梗塞などの所見があった場合は、経過観察のために再検査の時期を指定されることがあります。その場合は脳ドックではなく、医療機関での通院として画像検査を受けることもあります。結果説明の際に、次の検査をいつ、どこで受ければよいかを確認しておくと、受けっぱなしを防げます。
まとめ|初めてでも安心して脳ドックを受けるために
初めて脳ドックを受診する方へ、安心して検査が受けられるようポイントをおさらいします。自身の健康と大切な家族のため、脳ドックを最大限活用しましょう。
脳ドックは症状のない人が脳と血管の状態を確かめる健康診断で、症状がある場合は受診が先です。コースの内容、料金、結果説明の形式は施設によって違うため、比べたうえで選びましょう。
受診前に押さえるべきポイント
予約方法や検査内容、費用の目安、保険との関係など事前に調べておくことが安心に繋がります。不安な点は事前に医療機関へ相談しましょう。
予約前に確認しておきたい点は次のとおりです。
- コースに含まれる検査(頭部MRI・MRA、頚部MRA、頸動脈エコー、認知機能検査、血液検査など)
- 料金と所要時間
- 結果説明が当日か後日か、郵送のみか
- 体内金属・医療機器・刺青・妊娠などでMRIを受けられるか
- 食事制限と、常用薬の扱い
不安を取り除く準備と心構え
初めての検査は不安がつきものですが、事前に持ち物や注意点を準備することでリラックスして臨めます。分からないことは遠慮せず質問しましょう。
閉所が苦手な人は、MRIを受けられない場合があるため、予約の段階で申し出ます(東京労災病院は事前の申告を求めています)。検査中の大きな音もあらかじめ知っておくと驚かずに済みます。異常を指摘されたときは、結果を聞いたうえで次に何をすればよいかを落ち着いて確認しましょう。
検査結果を今後の健康管理に活かす
検査で得た情報は生活習慣の見直しや疾患予防に活用できます。問題がなかった場合も、今後の健康維持の指標として定期的な受診を継続することが大切です。
中部労災病院の資料では、日本脳卒中協会の「脳卒中予防10か条」として、高血圧の治療、糖尿病や不整脈を放置しないこと、禁煙、節酒、高すぎるコレステロールへの対処、塩分・脂肪を控えた食事、体力に合った運動、太りすぎの解消、そして脳卒中が起きたらすぐ病院へ行くことが紹介されています。脳ドックの結果は、こうした項目のうち自分が何に取り組むべきかを決める材料になります。
参考
- 日本脳ドック学会「脳ドックとは」(jbds.jp)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「頸動脈エコー検査」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-097.html
- 独立行政法人労働者健康安全機構 東京労災病院「脳ドックのご案内」 https://tokyoh.johas.go.jp/medical/healthcheck/s_dock_03
- JCHO星ヶ丘医療センター 健康管理センター「脳ドック」 https://hoshigaoka.jcho.go.jp/kenkan/course/%E8%84%B3%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF/
- 独立行政法人労働者健康安全機構 中部労災病院「「あれ?おかしい」は脳卒中のサインかも!?」 https://chubuh.johas.go.jp/assets/are_nosottyu.pdf
- 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」質疑応答 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm
- 国税庁 No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
