生理食塩水の使い方完全ガイド|創傷処置・鼻うがい・輸液の正しい使い方と注意点

生理食塩水は、私たちの体にやさしい成分でできており、さまざまな医療や家庭で使われています。

この記事では、創傷処置・鼻うがい・輸液という3つの代表的な使い方に注目し、それぞれの正しい使用方法と注意点をわかりやすく解説します。

市販品と自作の違いや、よくある疑問にも答えていきますので、生理食塩水を安全に使いたい方は必見です。

目次

生理食塩水とは?創傷や鼻うがい、輸液に使える理由

生理食塩水が医療現場や家庭で広く使われているのは、体への負担が少なく、さまざまな場面で応用ができるからです。

体液とほぼ同じ浸透圧だから

生理食塩水は、0.9%の塩化ナトリウム(NaCl)を含む水溶液で、人間の血液や体液とほぼ同じ浸透圧を持っています。

このため、細胞に水分が急激に出入りすることがなく、刺激が少なくてすみます。

たとえば傷口を洗うときや鼻うがいをするときに、体にとって「自然な状態」で洗浄ができるのが特徴です。

これが、生理食塩水が多くの医療処置に使われる一つの理由です。

細胞に負担をかけずに使えるから

生理食塩水は、血液とほぼ同じ成分なので、体内の細胞に余計なストレスを与えません。

水道水などの真水を使うと、浸透圧の違いで細胞が破裂したり、逆に縮んでしまう危険があります。

その点、生理食塩水は安心して体内・体外の洗浄に使えるのがメリットです。

だからこそ、傷口、鼻の中、血管など繊細な場所にも使えるのです。

無菌で安全性が高いから

市販されている生理食塩水は、基本的に無菌・滅菌処理されており、感染リスクがとても低いです。

医療現場では、感染症を防ぐことがとても重要なため、生理食塩水の無菌性は非常に重視されています。

そのため、輸液や傷の洗浄、目の洗浄など、体内や体表に使う場面で重宝されています。

家庭用でも無菌であることが重要ですので、開封後はすぐ使い切ることが推奨されます。

生理食塩水の創傷への使い方と注意点

ケガをしたとき、生理食塩水を使うと傷口をやさしく洗うことができ、痛みも少なく衛生的です。

汚れを優しく洗い流すために使う

ケガをした際、まず行うべきは傷口の洗浄です。そこで生理食塩水が役立ちます。

水道水と違い、生理食塩水は無菌なので、雑菌を傷口に入れるリスクを減らすことができます。

また、刺激が少ないため、痛みを感じにくく、小さなお子さんにも使いやすいのがメリットです。

泥や異物、血液を優しく洗い流すのに最適です。

傷口に直接スプレーや注射器で流す

生理食塩水は、スプレー容器や注射器などで傷口に直接かけて使うと、より効果的に洗浄ができます。

特に注射器タイプを使うと、ある程度の水圧で汚れを洗い流すことができるので、きれいにできます。

やけどや切り傷など、広範囲にわたる傷にも使えます。

ただし、強い水圧で傷を刺激しすぎないように注意が必要です。

使いまわしせず1回ごとに使い切る

生理食塩水は、一度開封したらすぐ使い切るのが鉄則です。

再利用すると雑菌が混入する可能性があり、かえって感染のリスクを高めてしまいます。

特に傷口などのデリケートな部位に使う場合は、1回限りで廃棄しましょう。

市販の使い切りタイプの生理食塩水を使うと衛生的で安心です。

感染予防には消毒と併用しない

生理食塩水は洗浄用です。消毒作用はないため、殺菌を目的とする場合は別の消毒剤を使います。

ただし、生理食塩水と消毒液を同時に使うと、化学反応を起こす可能性があるため併用は避けましょう。

通常は、まず生理食塩水で洗い流し、医師の指示がある場合にのみ消毒液を使用します。

自己判断での併用は避け、注意して使いましょう。

生理食塩水を使った鼻うがいの正しい方法

鼻うがいは、アレルギー性鼻炎や風邪の予防・改善に役立ちます。正しい方法で行えば、とても効果的です。

36〜37℃の温度で使用する

生理食塩水は体温に近い36〜37℃に温めて使うのがベストです。

冷たいまま使うと、鼻の粘膜が刺激を受けて痛みや不快感を感じることがあります。

電子レンジで10〜15秒ほど温めると、ちょうどよい温度になります(必ず容器ごとの加熱対応を確認しましょう)。

やけどしないように、温度確認はしっかり行いましょう。

片方の鼻から注入してもう片方から出す

鼻うがいの基本は、片方の鼻に生理食塩水を流し入れ、もう片方の鼻から出す方法です。

頭を前に傾けて、口から息をしながらゆっくり注入するのがポイントです。

鼻から喉に流れてしまっても問題ありませんが、吐き出せるようにしておきましょう。

最初は難しく感じても、慣れると簡単にできます。

専用の鼻うがいボトルを使うと便利

市販の鼻うがい専用ボトルやキットを使うと、安全かつスムーズに鼻うがいができます。

ボトルは押すと一定の水圧がかかるため、適度な力で生理食塩水を送り込むことができます。

ペットボトルや自作容器では水圧が不安定で、うまく流れないことがあるので注意しましょう。

専用キットは衛生面でも安心です。

1日1〜2回が目安

鼻うがいは1日1〜2回までが目安です。やりすぎると鼻の粘膜を傷める恐れがあります。

朝起きたときや、花粉・ほこりを多く吸い込んだ日などに行うと効果的です。

毎日続けることで、アレルギーや風邪の予防にもつながります。

ただし、痛みや出血がある場合は中止し、医師に相談しましょう。

生理食塩水が輸液として使われる仕組みとは

生理食塩水は点滴(輸液)としても使われており、医療現場で欠かせない存在です。体の中の水分や塩分のバランスを保つ役割があります。

脱水時に水分と電解質を補えるから

脱水症状になると、体の中の水分と一緒に塩分などの電解質も失われます。

生理食塩水は、水分だけでなく塩分(ナトリウム)も補えるので、脱水症状や熱中症の治療に適しています。

特に高齢者や乳幼児などは脱水になりやすいため、病院では生理食塩水の点滴がよく使われます。

吐き気や下痢で水分が取れないときにも効果的です。

血管内の浸透圧を保てるから

点滴で体内に液体を入れるとき、浸透圧のバランスが重要です。

浸透圧が高すぎたり低すぎたりすると、細胞に負担がかかります。

生理食塩水は、血液と同じ浸透圧のため、血管や細胞に無理なく吸収されやすいのです。

このバランスの良さが、点滴に向いている理由です。

ショック時や手術中にも安全に使えるから

手術中や事故後のショック状態では、急速な水分補給と血圧の安定が必要です。

その際、生理食塩水の点滴が重要な役割を果たします。

体にとって自然な成分でできているので、緊急時でも安全に使用できるのが特徴です。

大量に使うことが多いので、医療現場では大容量のパックが常備されています。

市販の「0.9%NaCl輸液」が医療現場で使われている

医療現場では、「大塚生食注」や「テルモ生食」などの製品名で0.9%NaCl輸液が使われています。

これらは厳格な品質管理のもとで製造されており、滅菌処理もされています。

家庭では購入できない医療用製品ですが、病院では欠かせない輸液の一つです。

薬剤と混ぜて使用することもあり、用途は非常に広いです。

生理食塩水を創傷・鼻うがい・輸液に使うときの共通ポイント

用途は異なっても、安全に使うための基本的なルールは共通しています。

無菌状態で使うことが重要

どの使い方であっても、生理食塩水は無菌であることが絶対条件です。

傷口や鼻の中、血管などに雑菌が入ると、感染の原因になります。

市販品は無菌状態で販売されていますが、使用時に手や容器が汚れてしまわないよう注意が必要です。

使う前には必ず手を清潔にしましょう。

開封後はすぐに使い切る

生理食塩水は一度開封すると、空気中の菌に触れてしまいます。

そのため、一度開けたら使い切るのが基本です。

使いかけを保管してしまうと、次に使うときに細菌が繁殖している可能性があります。

衛生的に使うために、少量タイプを選ぶのもおすすめです。

保存期間や使用期限を守る

市販の生理食塩水には必ず使用期限が記載されています。

期限が切れたものは、品質が保証されていないため使用しないようにしましょう。

特に医療や衛生用途では、少しでも古いものは避けたほうが安全です。

保存は高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所で行いましょう。

市販の生理食塩水と自作の違い|創傷・鼻うがい・輸液の用途別に解説

生理食塩水は薬局などで購入できますが、自分で塩と水を混ぜて作る方法もあります。それぞれにメリットとデメリットがあります。

市販は無菌・滅菌処理されている

市販の生理食塩水は、厳しい衛生基準のもとで製造されています。

無菌状態で出荷されているため、医療用としても安心して使えるのが大きな利点です。

スプレータイプ、ボトルタイプなど用途に合わせて形状も選べます。

そのまま使えるので便利で衛生的です。

自作は滅菌できないため創傷や輸液には不向き

塩と水を使って自分で作ることもできますが、家庭では完全な無菌状態を作ることができません。

そのため、傷口の洗浄や輸液の代用として使うのは避けましょう。

自作した場合、菌が混入するリスクが高く、感染症の原因になる可能性があります。

特に体内に入れるような使い方には絶対に使ってはいけません。

鼻うがいなら自作も可能だが衛生管理が必要

鼻うがいのための生理食塩水は、自作することも可能です。

水1リットルに対して塩9g(小さじ1.5杯)が目安の割合です。

ただし、使用前には必ず煮沸した水を使い、毎回新しく作ることが必要です。

衛生管理をしっかり行わないと、逆に鼻に細菌が入ってしまう危険があります。

病院や薬局では「大塚生食注」などが使われている

医療現場で使われるのは、薬事法に基づいて認可された製品です。

「大塚生食注」や「テルモ生食」などは、安全性と品質が確保されており、病院ではスタンダードな製品です。

これらは家庭用とは違い、点滴や注射、洗浄に幅広く使われています。

市販品よりも高い品質管理のもとで製造されています。

生理食塩水を使う際によくある疑問|創傷・鼻うがい・輸液での使用例から

生理食塩水に関するよくある質問をまとめました。正しい知識を身につけて、安全に使いましょう。

水道水と何が違うの?

水道水は塩分を含んでおらず、浸透圧が体液と異なるため、細胞に負担がかかります。

また、無菌ではないため、傷口や点滴などには使用できません。

生理食塩水は浸透圧が体液と同じで無菌なので、医療用途に適しているのです。

用途によっては、水道水では代用できない場合があるので注意しましょう。

自作する場合の塩の量は?

自作する場合、水1リットルに対して食塩9g(小さじ1.5杯)を目安にします。

できれば精製塩を使い、完全に溶けるように混ぜます。

煮沸して冷ました水を使うことで、ある程度の衛生管理が可能です。

鼻うがい以外の用途には使わないようにしましょう。

冷蔵保存してもいいの?

自作の生理食塩水を冷蔵保存することは可能ですが、24時間以内に使い切ることが望ましいです。

長時間放置すると細菌が繁殖する可能性があります。

市販の製品は開封前であれば長期保存が可能ですが、開封後はすぐ使い切りましょう。

冷蔵保存する際は清潔な容器を使い、しっかりフタを閉めてください。

使用期限が過ぎたらどうなる?

期限切れの生理食塩水は、無菌状態が保証されていません。

見た目に異常がなくても、菌が増えている可能性があります。

特に創傷や点滴などの用途では、期限切れの使用は絶対に避けるべきです。

期限管理をしっかり行い、古いものは廃棄しましょう。

ペットや赤ちゃんにも使えるの?

生理食塩水は、ペットや赤ちゃんにも使えることがあります。

ただし、使用する場合は必ず獣医師や小児科医の指示を仰ぎましょう。

自作ではなく、市販の無菌タイプを使用することが安全です。

目の洗浄や鼻うがい、傷の洗浄などに使われるケースがあります。

まとめ|生理食塩水の創傷・鼻うがい・輸液への正しい使い方

生理食塩水は、体にやさしい浸透圧と無菌性を活かして、創傷処置・鼻うがい・輸液といった幅広い場面で活躍します。

使用時は無菌であること、使い切ること、用途に合った使い方をすることが重要です。

市販と自作の違いを理解し、適切に使えば、日常でも医療でも非常に便利な存在になります。

安全・清潔を守って、正しく生理食塩水を使っていきましょう。

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