風邪のときの鼻うがいや、目の洗浄、ペットや赤ちゃんのケアまで、いろいろな場面で活躍する「生理食塩水」。
実は市販のものが手に入らなくても、家庭にあるもので簡単に作れるのをご存じですか?
この記事では、生理食塩水の正しい作り方と、家庭で安全に使うための注意点についてわかりやすく解説します。
生理食塩水の作り方と家庭で使う理由とは?
ここでは、なぜ生理食塩水を家庭で作って使うのか、その理由を3つのポイントで紹介します。
体の中の塩分濃度に近いため安全に使えるから
生理食塩水とは、0.9%の食塩水のことです。この濃度は、私たち人間の体液に近いため、粘膜や皮膚に触れてもしみにくく、刺激が少ないという特徴があります。
そのため、目や鼻、口内、傷口など、デリケートな場所の洗浄にも安心して使えるのです。
特に鼻うがいなどでは、水だけではツンとしみて痛くなることもありますが、生理食塩水なら痛みを感じにくく、違和感も少なくなります。
体にやさしい塩分濃度だからこそ、安全にさまざまな場面で使えるというのが大きなメリットです。
市販品が手に入らない時に自作できるから
生理食塩水はドラッグストアなどでも市販されていますが、急に必要になった時に手元にないと困ることもあります。
しかし、家庭で簡単に作れると知っていれば、急な鼻づまりや目の違和感にもすぐに対応できます。
用意するのは、水と塩だけ。特別な器具や薬品も必要ありません。
いざという時に備えて、作り方を覚えておくと安心です。
赤ちゃんやペットにも使えるやさしい液体だから
市販の医薬品や洗浄液には、保存料や防腐剤が含まれていることがあります。
しかし自作の生理食塩水なら、純粋に水と塩だけでできているので、赤ちゃんやペットにも安心して使えるのです。
赤ちゃんの鼻づまりのケアや、犬・猫の目や耳の掃除などにも活用できます。
もちろん、清潔な環境で作り、使い方に注意することが大切です。
生理食塩水の作り方をわかりやすく解説
ここでは、誰でもできる生理食塩水の基本的な作り方を、材料から手順まで丁寧に説明します。
必要な材料は「水」と「塩」だけ
まず、生理食塩水に必要な材料はたったの2つです。
①水:できれば精製水や煮沸した水
②食塩:精製された「食卓塩」や「精製塩」
海塩や岩塩などの自然塩はミネラルが含まれており、目や鼻に刺激になることがあるので避けましょう。
余計な成分のない、純粋な塩と水が基本です。
0.9%の濃度を守ることが大切
生理食塩水は、水100mlに対して塩0.9g(=約小さじ1/6)の割合で作ります。
水が500mlなら、塩は約4.5g(=小さじ1弱)です。
この濃度が体液に近く、粘膜への刺激が少ない理想の塩分濃度です。
塩が多すぎたり少なすぎたりすると、しみたり、効果が薄れたりする原因になります。
煮沸や電子レンジでしっかり殺菌する
作るときは、水や容器の清潔さも重要です。
できれば水は一度沸騰させてから冷ますか、精製水を使用しましょう。
使用する容器(ボトルやビーカーなど)も、煮沸消毒または電子レンジで加熱殺菌してから使うと安全です。
衛生面に配慮することで、雑菌の繁殖を防ぎ、安心して使用できます。
生理食塩水の作り方で注意すべきポイント
生理食塩水を安全に作るためには、いくつかの注意点があります。材料選びや保存方法に気をつけましょう。
食塩の種類は「精製塩」を使う
「自然塩」や「岩塩」は使わないことが基本です。
これらにはミネラルや微量元素が含まれていて、目や鼻に刺激となることがあります。
最も適しているのは、添加物のない精製塩、いわゆる普通の食卓塩です。
ヨウ素入りの塩も避けるのが無難です。
水は「沸騰させて冷ました水」または「精製水」を使う
水道水をそのまま使うと、細菌や塩素、カルキなどが含まれている可能性があります。
そのため、一度沸騰させてから冷ました水か、市販の精製水を使いましょう。
特に目や鼻、赤ちゃんやペットに使う場合は、衛生的な水を選ぶことがとても大切です。
なるべく新鮮で安全な水を使うようにしましょう。
作った液はすぐに使い切るか冷蔵保存する
作った生理食塩水は、なるべくその日のうちに使い切るのが理想です。
どうしても残ってしまった場合は、冷蔵庫で保存して24時間以内に使い切りましょう。
保存中に雑菌が繁殖する可能性があるため、長期間の保存はNGです。
再利用する際は、常温に戻してから使用するようにしましょう。
生理食塩水を家庭で使う主な用途とは?
家庭で作った生理食塩水は、さまざまな場面で活用できます。以下に代表的な用途を紹介します。
鼻うがいで花粉やホコリを洗い流す
花粉症や風邪の時に効果的なのが「鼻うがい」です。
生理食塩水を使えば、ツンとした刺激が少なく、優しく鼻の奥まで洗い流すことができます。
毎日のケアで、鼻詰まりやアレルギーの予防にも役立ちます。
専用の鼻うがいボトルがあると、より使いやすくて便利です。
目の洗浄やコンタクトレンズの一時的な保存
目にゴミが入った時や、目のかゆみを感じるときに生理食塩水は役立ちます。
やさしく目を洗うことで、異物や汚れを取り除くことができます。
コンタクトレンズの一時的な保存液としても使えますが、あくまで一時的に。必ず専用保存液で洗浄・保存してください。
洗眼カップやスポイトなどを使うと、簡単に洗浄できます。
傷口の洗浄や口内ケアに使える
転んでできたすり傷や、口の中の炎症にも生理食塩水は有効です。
刺激が少ないので、痛みがある場所でも安心して使えます。
口内炎や歯ぐきの腫れのケアには、うがい薬の代わりとして活用できます。
傷口にはコットンやガーゼに含ませて、やさしく拭くと良いでしょう。
加湿器に入れて乾燥対策に使う
加湿器に生理食塩水を入れることで、のどや鼻の乾燥をやさしく防ぐことができます。
ただし、加湿器によっては塩分が故障の原因になる場合があるので、必ず取扱説明書を確認しましょう。
スチーム式よりも、超音波式加湿器に向いています。
室内の湿度を保つことで、風邪の予防にもつながります。
生理食塩水の作り方と家庭での正しい保存方法
作った生理食塩水を安全に保つためには、保存方法にも注意が必要です。雑菌の繁殖を防ぐためのポイントを確認しましょう。
清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存する
生理食塩水を保存する際は、必ず煮沸消毒したガラス瓶やプラスチック容器など、清潔な保存容器を使いましょう。
ペットボトルでも代用可能ですが、口が広めで注ぎやすいものがおすすめです。
保存場所は冷蔵庫が基本です。常温では雑菌が繁殖しやすくなります。
使うときは必要な分だけを取り出して使用しましょう。
保存期間は24時間以内が目安
自宅で作った生理食塩水には防腐剤などが含まれていないため、長期保存には向きません。
保存の目安は冷蔵保存で24時間以内です。
それ以上保存すると、見た目に変化がなくても雑菌が繁殖している可能性があります。
安全のためにも、できるだけ使い切れる量だけ作るのがおすすめです。
使うときは常温に戻してから使う
冷蔵庫から出したばかりの生理食塩水は冷たすぎて、目や鼻に使うと刺激になることがあります。
使う前に少し置いておくか、手のひらで温めるなどして常温に戻してから使うようにしましょう。
電子レンジで温める場合は、加熱しすぎに注意し、使う前に温度を確認してください。
特に赤ちゃんやペットに使う場合は、ぬるめの温度が安心です。
生理食塩水の作り方と家庭での使用時にありがちな疑問
ここでは、生理食塩水を自作・使用する際に多くの人が感じる疑問について、分かりやすくお答えします。
ミネラル入りの塩でも作れるの?
「天然塩」や「岩塩」など、ミネラルが多く含まれた塩は、生理食塩水には適していません。
ミネラル成分が刺激となり、目や鼻などの粘膜にダメージを与える可能性があります。
できるだけミネラルを含まない「精製塩」や「食卓塩」を使いましょう。
シンプルな材料が安全な生理食塩水作りのカギです。
保存容器はどんなものがいい?
保存容器は殺菌しやすく、密閉できるものが理想です。
たとえば煮沸消毒可能なガラス瓶、小型のスプレーボトル、スポイト付き容器などが使いやすいです。
プラスチック容器を使う場合は、電子レンジでの加熱や薬液消毒が可能かを確認しましょう。
また、容器に作成日を記載しておくと、衛生的に管理できます。
ペットにも使えるの?
犬や猫などのペットにも、生理食塩水は安全に使えるケースが多いです。
目の洗浄や耳掃除、傷のケアなどに利用できます。
ただし、ペットの状態によっては刺激になることもあるため、できるだけ獣医師に相談してから使うようにしましょう。
また、必ず清潔な生理食塩水を使い、使い回しは避けるようにしましょう。
目や鼻にしみたらどうする?
目や鼻に使ったときに痛みを感じる場合は、濃度が間違っている可能性があります。
0.9%よりも濃かったり、逆に薄かったりすると、しみたりヒリヒリしたりします。
一度レシピを見直し、正確に計量して作り直しましょう。
また、保存期間を過ぎた古い液を使っていないかも確認してください。
まとめ|生理食塩水の作り方と家庭での活用ポイント
ここまで紹介してきた内容を、簡単に振り返ってみましょう。
正しい濃度と衛生管理が大切
生理食塩水は、水100mlに対して塩0.9gの割合が基本です。
濃度を守ること、そして清潔な材料・容器を使うことが安全の第一歩です。
作るたびに分量を確認し、清潔な環境で調理しましょう。
使うときも冷蔵保存・常温戻しなどのポイントを押さえてください。
家庭内のさまざまな場面で役立つ
鼻うがい、目の洗浄、口内ケア、傷の手当、ペットのお手入れなど、生理食塩水は驚くほど幅広く使える万能液です。
自然で刺激が少ないので、子どもから大人、ペットまで家族全員で使えます。
災害時や非常時にも役立つので、作り方を覚えておくと安心です。
余裕があれば、いつでも作れるよう材料や容器を準備しておくと便利です。
用途ごとに使い分けるとより安全に使える
鼻うがい用、目の洗浄用、傷のケア用など、使う目的によって専用の容器を用意すると衛生的です。
1つの容器を何度も使い回すと、雑菌が混入するリスクが高まります。
また、使用後は毎回しっかり洗浄し、必要であれば消毒も行いましょう。
安全に使い続けるためにも、丁寧な管理を心がけることが大切です。