ビールってどんなお酒?ビールの種類・豆知識

ビールの種類と特徴を表す白黒フラットイラスト

居酒屋でも家でも身近なビールですが、いざ「どんなお酒なのか」と聞かれると、答えに詰まる人は少なくありません。売り場には淡い色のものから黒に近いものまで並び、ラガー、エール、ピルスナー、IPAといった呼び名も入り混じっています。この記事では、原料と造り方という土台から、種類の分かれ方、味わいの傾向、注ぎ方や保存のしかたまでを、一般的な整理として順に見ていきます。あわせて、飲む前に必ず確認しておきたい約束事も最後にまとめます。なお、この記事は飲酒をすすめるものではありません。

目次

ビールとはどんなお酒か

ビールは、麦を原料にして発酵させたお酒として説明されることが多いお酒です。世界各地で古くからつくられてきたため、地域ごとに材料の組み合わせや造り方の作法が異なり、味わいの幅もとても広くなっています。同じビールという言葉でも、すっきりと乾いた味のものから、果実のような香りが立つもの、焙煎の香ばしさを持つものまで含まれます。まずは、どんな材料からできていて、どんな工程を通るのかを押さえておくと、種類の違いがぐっと理解しやすくなります。

四つの原料が味の土台になる

一般的な整理として、ビールの中心になる原料は次の四つです。細かな配合や副原料は商品ごとに違うので、ここでは役割の大枠だけを挙げます。

  • 麦芽……発芽させた麦。糖のもとになり、色合いや香ばしさも左右する
  • ホップ……苦味と香りを与える植物。泡もちや品質の保ちにも関わるとされる
  • 水……液体の大部分を占める材料。水質の違いが味の印象に影響すると説明される
  • 酵母……糖をアルコールと炭酸ガスに変える微生物。香りの出方にも関わる

この四つのうち、どれか一つを変えるだけでも仕上がりの印象は変わります。種類の違いを難しく感じたときは、原料のどこを動かした結果なのか、という見方に戻すと整理しやすくなります。逆にいえば、材料の数はそれほど多くないのに、組み合わせと加減で膨大な種類が生まれているお酒だといえます。

糖化と発酵という二つの工程

造り方も大づかみに理解しておくと便利です。まず、砕いた麦芽をお湯と合わせ、でんぷんを糖に変えていきます。ここでできた甘い液にホップを加えて煮ることで、苦味と香りが移ります。冷ました液に酵母を加えると発酵が始まり、糖がアルコールと炭酸ガスに分かれていきます。そのあとしばらく寝かせて味をなじませ、ろ過や熱処理などの仕上げを経て製品になります。工程の細部は醸造所や商品によって異なるので、ここでは流れの骨格として捉えてください。

ビールができるまでの大まかな流れ ビールができるまでの流れ 麦芽 ホップ 水 酵母 仕込み:麦芽を糖に変え、ホップを加えて煮る 発酵:酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに変える 熟成:味をなじませ、仕上げの工程へ できあがったビール

ラガーとエール|発酵のしかたで分かれる二つの系統

種類の話でいちばん大きな分かれ道が、発酵のしかたです。使う酵母の性質と発酵させる温度帯によって、大きくラガーとエールという二つの系統に分けて説明されるのが一般的です。どちらが上等ということではなく、目指している味の方向が違うと考えるほうが実態に近い理解になります。売り場でどれを選ぶか迷ったときも、この二つのどちらに近いかを見当づけるだけで、かなり絞り込めます。

低い温度でゆっくり進むラガー

ラガーは、低めの温度で時間をかけて発酵させる系統です。発酵に由来する香りが穏やかになりやすく、麦とホップの輪郭がはっきりした、すっきりした味わいに仕上がりやすいと説明されます。よく冷やして飲む場面に合わせやすく、食事と一緒に飲むときにも選ばれやすい系統です。日本の店頭で目にする商品にも、この系統に分類されるものが多く含まれています。

高めの温度で香りが立ちやすいエール

エールは、比較的高めの温度で短い期間に発酵させる系統です。発酵の過程で果実や花を思わせる香りが出やすく、味わいに厚みを感じるものが多いとされます。冷やしすぎると香りが閉じてしまうと言われ、少し温度を上げて楽しむ人もいます。近年よく見かける個性的な商品には、この系統に含まれるものが目立ちます。香りを楽しみたいときは、こちらを手がかりにするとよいでしょう。

ラガーとエールの分かれ方と特徴の対比 発酵のしかたで二つに分かれる ラガー(下面発酵) エール(上面発酵) 低い温度でゆっくり発酵 すっきりした味わいが多い きめ細かい泡立ち 代表例はピルスナー よく冷やして飲む場面が多い 店頭で見かける機会が多い 高めの温度で短めに発酵 香りや風味が立ちやすい 果実や花のような香りも 代表例はペールエール 冷やしすぎない飲み方も 個性的な商品に多い系統 どちらが上等という分け方ではなく、目指す味の方向の違い

よく名前を聞くビールの種類と味わいの傾向

ラガーとエールの下に、さらに細かいスタイル、つまり種類の呼び名があります。ここでは店頭やメニューでよく見かけるものを、味わいの傾向とともに一般的な整理として並べます。同じ呼び名でも造り手によって幅があるので、傾向として読んでください。

ピルスナー

ラガーの代表として挙げられることが多いスタイルです。淡い色合いと、澄んだ苦味、すっきりした後口が特徴として説明されます。食事と合わせやすく、最初の一杯として選ばれる場面が多い系統です。ビールは苦いものというイメージの多くは、この系統の味わいから来ていると語られることもあります。

ペールエールとIPA

エールのなかで、ホップの香りをはっきり出したものがペールエールとして説明されます。IPAはその流れをさらに進めた呼び名で、柑橘や松を思わせる香りと、強めの苦味を持つものが多いとされています。香りを味わう性格が強いので、飲み慣れていない人は少量から試したという声もよく聞かれます。苦味の感じ方には個人差が大きい領域でもあります。

色の濃いスタウトやポーター

深く焙煎した麦芽を使うと、色が濃くなり、コーヒーやカカオを思わせる香ばしさが出ます。スタウトやポーターと呼ばれる系統がこれにあたります。見た目が黒いので強いお酒だと思われがちですが、色の濃さとアルコールの強さは別の話で、必ずしも一致しません。度数は表示で確かめるのが確実です。

小麦を使ったビール

大麦だけでなく小麦を使うと、白くにごった見た目と、やわらかい口当たりになりやすいと説明されます。ドイツのヴァイツェン、ベルギーのホワイトビールなどが知られています。バナナや丁子を思わせる香り、柑橘やスパイスの香りなど、造り方によって印象が変わるのも特徴として語られます。

色・苦味・香りはどこで決まるのか

種類の名前を覚えるより、味を決めている要素を知るほうが応用が利きます。色をつくっているのは、主に麦芽の火入れの度合いです。浅く仕上げれば淡い色に、深く焙煎すれば濃い色と香ばしさが出ます。つまり色の違いは、材料の焼き加減の違いだと考えると腑に落ちやすくなります。

苦味と香りを受け持つのはホップです。同じホップでも、煮る工程の早い段階で入れるほど苦味として残りやすく、遅い段階や発酵のあとに加えるほど香りとして残りやすいと説明されます。香り高い商品が増えているのは、この使い分けの工夫が広く知られるようになったためだと語られることが多いようです。

そこに酵母の個性が重なります。同じ材料を使っても、酵母が違えば出てくる香りが変わります。味の違いを感じたときに、麦芽の焼き加減なのか、ホップの入れどころなのか、酵母の個性なのか、と分けて考えると、自分の好みを言葉にしやすくなります。好みが言葉になれば、次に選ぶときの手がかりも増えます。

注ぎ方とグラス|泡を味方にする

泡が果たしている役割

ビールの泡は見た目の飾りではなく、実用的な役目を持つと説明されます。液面をおおうことで空気に触れる面積を減らし、香りが飛んだり味が変わったりするのを抑える働きです。泡がすぐ消えてしまうと、その分だけ変化が早く進みます。グラスに油分や洗剤が残っていると泡が保ちにくくなるとされるので、器の清潔さは味の話と地続きだといえます。

注ぎ方の手順とグラスの扱い

家庭で注ぐときは、はじめに勢いよく注いで泡の層をつくり、泡が落ち着いてから静かに注ぎ足し、最後に泡を盛り上げて仕上げる、という段階に分けると整えやすくなります。泡の量は好みなので、決まった正解があるわけではありません。グラスは乾いた清潔なものを使い、洗剤が残らないようによくすすぎます。凍らせたグラスは霜が溶けて水分が混ざり、味が薄く感じられることがあるため、冷やすなら冷蔵庫でとどめるという説明もよく見かけます。器の形によって香りの立ち方や泡もちが変わるとも言われるので、いくつか試して好みを探るのも楽しみ方の一つです。

泡をつくりながら注ぐ三つの段階 泡をつくりながら注ぐ三つの段階 1 2 3 グラスの中央へ、はじめは勢いよく 泡の層をしっかりつくる 泡が落ち着いたら静かに注ぎ足す 液面を上げて泡の高さを整える 最後は泡を盛り上げて仕上げる 液体と泡の割合は好みで調整する 泡の量に決まった正解はなく、器の清潔さが泡もちを左右する

買ってからの保存|温度・光・振動に気をつける

ビールは買ったあとの置き方でも印象が変わります。まず、温度を上げたり下げたりくり返さないことです。冷やして常温に戻してをくり返すと味が落ちやすいと言われるため、飲む分だけ冷やすほうが扱いやすくなります。適した温度帯は商品や種類によって異なるので、缶や瓶の表示、造り手が公開している案内を確認してください。

次に、光を避けることです。直射日光や強い照明に長く当たると、香りが変わってしまうことがあると説明されます。箱に入れたまま、あるいは戸棚のような暗い場所に置くほうが無難です。振動も好ましくないとされ、開けたときに吹きこぼれる原因にもなります。持ち帰った直後は少し落ち着かせてから開けると、あわてずにすみます。

賞味期限は、おいしく飲める目安として示されているものです。期限の考え方や表示のしかたは商品によって違うので、必ず表示を確認し、古いものは無理に飲まずに判断してください。開けたあとは炭酸が抜けて風味が変わりやすいため、その日のうちに飲みきれる量を選ぶほうが扱いやすくなります。

日本のビールをめぐる言葉を整理する

ラベルやメニューで見かける言葉にも、意味の決まっているものがあります。たとえば、熱処理をしていないものを指して生ビールと呼ぶ、という説明が一般的です。お店のサーバーから注いだものだけを指す言葉だと受け取られることもありますが、容器の違いを指す言葉ではないと整理されることが多い点は、覚えておくと混乱しにくくなります。

また、日本では原料や製法の条件によって、ビール、発泡酒、その他の区分といった分け方が使われています。この区分は法令にもとづくもので、内容が改正されることもあります。具体的な条件や区分の詳細、税に関わる扱いについては、国税庁など公的機関の案内で最新の情報を確認してください。ここでは、呼び名が違えば中身の条件も違う、という点だけ押さえておけば十分です。判断に迷う内容であれば、専門の窓口に相談するのが確実です。【リンク】

小規模な醸造所がつくるものをクラフトビールと呼ぶ言い方も広まりました。ただし、この呼び方の線引きは一つに定まっているわけではないため、規模や製法についての説明として受け取るのがよいでしょう。呼び名そのものが味を保証するものではありません。

飲む前に必ず確認したいこと

ここまで種類や扱い方を見てきましたが、お酒である以上、守らなければならない前提があります。この記事は飲酒をすすめるものではなく、飲まないという選択も同じように尊重されるべきものだという立場で書いています。

二十歳未満・妊娠中・運転前は飲まない

二十歳未満の飲酒は法律で禁じられています。まわりの大人がすすめることも、買って渡すこともしてはいけません。妊娠中や授乳中の飲酒は、胎児や赤ちゃんへの影響が指摘されており、避けるよう案内されています。そして、お酒を飲んだあとに車や自転車を運転することは法律で禁じられています。運転する人にお酒をすすめる行為も同じく許されません。少しだけなら大丈夫という自己判断はせず、飲むなら乗らない、乗るなら飲まないを徹底してください。

体質と体調には個人差がある

お酒の分解のしかたには体質による差があり、少量でも具合が悪くなる人がいます。断ることは失礼ではありませんし、まわりが無理にすすめるのは避けるべきです。健康への影響は個々の状況によって変わるため、持病がある場合、薬を飲んでいる場合、体調に不安がある場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談してください。この記事は、特定の飲み方が健康によいと述べるものではありません。

よくある質問

ラガーとエールは、買う前に見分けられますか
缶や瓶のラベルに種類名が書かれていることが多く、ピルスナーならラガー系、ペールエールやIPAならエール系というように見当をつけられます。表示がない商品もあるので、確実に知りたいときは造り手が公開している商品案内を確認してください。
色が濃いビールほどアルコールが強いのですか
色の濃さは主に麦芽の焙煎の度合いで決まるとされるため、アルコールの強さと必ず一致するわけではありません。濃い色でも軽い口当たりのものがあり、淡い色でもしっかりした造りのものがあります。度数は容器の表示で確かめるのが確実です。
泡は少ないほうがたくさん飲めて得ですか
泡には液面をおおって空気との接触を減らす役目があるとされ、少なすぎると香りや味が変わりやすくなります。量は好みで決めてかまいませんが、泡をなくすほどよいという単純な話ではない、と考えておくとよいでしょう。
グラスは凍らせておいたほうがよいですか
凍らせたグラスは霜が溶けて水分が混ざり、味が薄く感じられることがあります。冷やしたい場合は冷蔵庫で冷やす程度にとどめ、洗剤や油分が残らないようによくすすいで乾かしておくほうが、泡も保ちやすくなるとされています。
飲みきれなかった分は取っておけますか
開けたあとは炭酸が抜けて風味が変わりやすいため、その日のうちに飲みきれる量を選ぶほうが扱いやすくなります。無理に飲みきる必要はありません。残った場合の扱いは商品の表示に従い、体調がすぐれないときは飲まない判断を優先してください。
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